つづき
「ラジオとレコードの実用的な価値については、如何に高く評価してもし過ぎる事は無い。
 それは明白な事実である。それはなによりもまず音楽の途方も無い普及の可能性にあり、同時にまた
 教育的な手段としての意味をも有している。この全てを前提とした上で、わたしたちは一つの問いを
 提出せねばならない。それは、機械的な方法で再現された音楽にあっても、かつて存在した音楽家達の手で
 生き生きと演奏された音楽と果たして同じ物が追求されているかという疑問である。
 オーケストラの再現にあっては最も甚だしい。つまりオーケストラ演奏がディスクに置き換えられる場合、
 全て画質的に別なもの、完全に別なものになってしまう。このことは、もはや一般の人々には全く意識されていない。
 我々はそれらが日常化した時代に生きているので、もはやそのことについて全然気がつかなくなっている。」

 フルトヴェングラー「音楽の生命力」(1931年)