先日のBS2の番組でエリザベート夫人が
「夫が自分の演奏したレコードでまともに最後まで聞けたのは『トリスタンとイゾルデ』だけでした」
と語っていましたね。それ以外のレコードはすべてかけると段々怒り出したと。
それくらいフルトヴェングラーは「ディスクで音楽を聴くこと」を忌み嫌っていたんですね。
本来瞬間的に湧き出て消え去るものであるはずの音楽を、音として固めてしまうことの危険性を彼は危惧していました。

「私達のコンサート活動が恐ろしく衰退したと言う事実は否定し難い。現代文化活動全体が
 あらゆる部門で同じ萎縮のプロセスをたどっているともいえようが、音楽の分野にあっては、
 更にこれに加えて、近来富に著しいメカニカルな音楽製作の脅威であるレコードやラジオの脅威である。
 私達が憂慮するところは、音楽体験とその能力の喪失と衰退なのである。」