役立つ云々の話はシェトレ本が出所だと思うが、以前からある
話の亜種ということを別にしても、シェトレ自身が本によって
舞台をロンドンと書いたりウィーンと書いたりしているんで
(あの本自体の評価は別として)真偽の程はけっこう眉唾。
ま、アネクドートにいちいち目くじら立てるのも野暮な話ですが。

で、Klemperer Storiesからのお話。

「バイオリンとピアノとチェロのための三重奏曲」

翁はPOの赤毛の美人チロ奏者にひじょーにご執心であり、
口説くためにはかなり悪知恵を巡らせるのであった。

ある時、リハーサルの終了後、翁は彼女にこう言った。
「バイオリンとピアノとチェロのための三重奏曲を書いたんじゃ。
で、どんなもんか聴いてみたいんでホテルのワシの部屋に来て
一緒に弾いてくれんか?」
翁は男性のヴァイオリン奏者にも同じことを頼んだ。チェロ奏者は
それなら大丈夫だろうと承知した。

ホテルの部屋に着き、オケの2人が楽器を取り出し音合わせを
始めると、翁は取り散らかった自筆稿を前にピアノに着いた。
そして楽譜を選り分けながらこう言った。

「実はヴァイオリンパートが未完成でな」
ヴァイオリン奏者を指さすと、

「お前さん、帰ってよし」