みなさんの熱のこもった書き込みを見て、これだけたくさん真のリスナーが存在していたのかとうれしく思いました。

Claude Helffer (1922.6.22-2004.10.28) は私の知るかぎり史上最強のピアニストです。
エコール・ポリテクニークを出身ながらもレイボヴィッツとカサドシュに学び、バロックや古典、そして印象派はもちろんのこと、
およそあらゆる領域のピアノ曲に優れた冴えを見せつつ、なによりもクセナキスやブーレーズなどから同世代からの最高の紹介者に求められました。
「ラモーからブーレーズまで」というのが彼の広いレパートリーを語るメディアの宣伝文句でしたが、
特筆すべきは自分よりも一世代以上若いマヌリの曲などをあれだけすばらしい演奏で世に広めたことです
(意外にも大ピアニストでこれは非常に難しくまた珍しいことです)。

個人レッスンではあらゆるレパートリーに対して、それも一つ一つ熟知して応じていました。
また日仏会館での「エヴリアリ」などの公開レッスン、音楽の友ホールでのシェーンベルク、
あるいは「夜のガスパール」(ラヴェルの施した黄金分割を明かして見せました)などのレクチャーに参加してわかるのは、彼がいかに作品を的確に見通していたか
(デュナーミク、音価、さらには全小節を通しての経過などをすべてパラグラフ化します)、
しかしそういった知的なアプローチを綜合するのが「歌」であるという、当たり前にして困難至極なことをたやすく実行できる物凄さで、
その類稀れな音楽性は晩年精魂を傾けていたドビュッシーの校訂作業も現れています。