話が逸れました。彼らバイヤーにとっての一番の問題は手元のイワク付き楽器を誰に売
るか、ということでしょう。
これもまたT木君の商人としての能力の見せ所だけれどね。(苦笑)
優秀な演奏家は良い楽器を持っている。当然、良い楽器を感覚的に知っている訳です。
有罪にならなくても贋物ではないかという話になれば、事は面倒です。となると。
とにかく弾けなくて、楽器の本質を見抜けなくて、高く買ってくれると踏んだ人に持っ
て行く訳です。しかもその人が日本の楽壇で干されて孤立しているような人であれば、
適切なアドヴァイスをする人もいないし余計な入れ知恵をする心配もないでしょう。
正にバイヤー達が『この迷器を誰に売るのが相応しいか』とオンボロ奏者をリストアッ
プして検討に検討を重ねた結果、T木くんが推薦する千寿マソコさんに決定したんでしょ
うな。いわくつきの楽器を抱えたバイヤーにとっては最高の顧客と目星をつけたのです。
勿論、事前に私に相談に来てたら、昔の弟子ではありますからね・・・。
やめなさい、と諭したと思いますけれど、話題性に惚れ込んだ彼女は誰にも相談するこ
となく飛びついて商売はまとまったし。彼女も演奏家としてやってるなら自己責任です。
これだけ楽器の話題で売り出してしまったからにはデュランティーが贋物説が浮上した
としても、見栄の塊である彼女は意地でも「本物」で通してくれると、今ごろT君は安
泰と安心しておるでしょうな。見事、T君のシナリオ通りという訳です。

そんな訳で彼女はデュランティーを『幻の名器』なんて触れ込みで売ってるようですけ
ど、楽器の実態はまさに『幻』だと思いますよ。ハッハッハ。
とにかく、本物の名器はふさわしい腕を持った奏者に行くようになってるんです。
この事実をお忘れなく。