柴田南雄「わが音楽、わが人生」より

諸井三郎は作曲家であるが、いわゆる芸術家肌とか、職人的な音楽家といった
性向からは遠く、あくまで明晰で意志強固で組織力、実行力があり、
妥協をきらい、楽しみや雑談のために漫然と時間をつぶすことをしない、
俗世間的な意味での社交性に乏しい人であった。

ピアノ演奏には堪能で、留学前には公開演奏のステージで自作を演奏し、
戦時中の自宅の試演会では自作のほか、われわれの作品の演奏も引き受けられた。‥