あのイザベラとの一件があったのち冬が過ぎて春が訪れた。
街は復活祭の時期に相応しい陽気に輝いていた。
春麦の収穫の前に行われる祭りの頃になると
方々より放浪楽士が集まり街は陽気なにぎわいに満ちていた。
ドゥ・ギッシュもあの一件以来、宮廷人としての誇りが蘇りつつあった。
あるとき広場の縁日で賑わうなか、放浪楽士たちが芸を競いだした。
人垣が大きな大団円を描くなかには、かのドゥ・ギッシュの姿もあった。