アシュケナージが一流にランクされているピアニストであることは
まもなくわかったので、いろいろ聴いてみた。
どの演奏も実にバランスがよく、学習者が楽譜を見ながら曲を学ぶには
最適の演奏である。が、ついぞ、ここでアシュケナージの本音が出たな、
という演奏には出会ったことがない。

10日のベートーヴェンもテンポといい、全体のプロポーションといい、
中庸の極みのような演奏だと思った。もちろん熱気にも不足はない。
欠けてるものがないことが唯一の欠点と言ってもいいくらい。
しかし、アシュケナージ自身はどこにいるのかよくわからなかった。

アシュケナージの本音を探すのは、タマネギをむくような行為なのだろうか?
この音楽家を理解するための手がかりがいまだにつかめない。