吉井の本が名曲の全部のCDを評価している理由は、
吉井の本は、実は名曲の全部のCDを聞いている人
向けの本だからなんだと思う。

吉井の本は、従来の名盤ガイドと違って、
全部は聞けないから評論家の本で名盤がどれかを知ろうとする人向けの本
ではないのではないか?
別の言い方をすると、世界の全ての国に行ったことのある人のための旅行ガイド。
だから、世界の全ての国に行ったことのある人に
「この国はこういう国で」という細かい説明は必要ない。
もちろん、評論家以外では全部のCDを聞く人はいないのだけれど、
もし、将来ネットで全員が全てのCDを簡単に聞ける時代になったとしたら、
その全てのCDの評価は恐らくこうなるでしょう、
という事を書いてる本だという気がする。
だから、吉井の本の評価に反対の人は、全部のCDを聞いて、
吉井の本と同じ形式で、吉井とは違う評価を書いてみせないといけない。

この本の真の恐ろしい点は、全部のCDを評価しているからじゃなくて、
たとえ全部のCDを聞いても評価を下せるようになるもんじゃないんですよ、
ということを暗に語っていることだと思う。
評論家は全部のCDを聞いてるから、一般人より偉いんじゃないし、
全部のCDを聞いたから評価する能力が必ずしも身につくというものでもない。
名盤を評価する能力に評論家も一般人もない。
みんなが全てのCDを聞ける時代になったら確実にそうなる。
そうしたことを暗示しているようで怖いなと。
だから「自分だけの名盤探し」は、能力に恵まれていない人には
無理だと個人的に思い始めている。