リヒターのバッハについて言えば、先ずドイツ人であること、ライプツィヒのバッハ演奏の正当的伝統
を受け継ぐ偉大な2人の師(シュトラウベとラミン)に師事したこと、リヒター自身も聖トマス教会オルガ
ニストだったこと、カントールの最有力候補だったが、当時の東ドイツの政状から自分の思うバッハ演
奏が難しいのでミュンヘンに移りオケを作り、また街頭に立ってビラ配りをして合唱団員を募ったこと。
そしてミュンヘン・バッハを手兵として、当時誰もなし得なかった素晴らしいバッハ演奏の数々をした事。
これらを踏まえて言えば、現代ではリヒターみたいな演奏家はもう望めない。
心の内側からわき出るようなリヒターのバッハは、今でも最高の価値があると思う。