世界中のピアニストから絶大な信頼を集めるスタインウェイ社のグランドピアノが、
山形県長井市の県立長井高校の片隅に放置されていた。
戦前に輸入された貴重なものとわかり、同校の先生や卒業生が尽力してドイツでの修理を実現させた。
21日夜、同市で「復活」のコンサートがある。

ピアノは、生徒が部活動の合宿などで使う同高の同窓会館会議室の片隅にあった。
生徒が洗濯したシャツをかける物干し台代わりという状態。ほこりまみれで、
いくつもの鍵盤がはずれ、ペダルも壊れるなど傷みが激しく、同校は02年に廃棄処分を決めた。

ところが、当時同校の音楽教諭だった斎藤美喜さん(34)=現在は県立南陽高=が、
本体に「STEINWAY」とあるのに驚いた。
「捨てるなら、何とかならないか」と、すがる思いで、同社の日本代理店
「スタインウェイ・ジャパン(SJ)」に連絡した。
電話を受けたSJ社の鈴木達也社長が、斎藤先生に刻印を見てもらうと、
1923(大正12)年に独・ハンブルクで作られたものだと分かった。
SJ社によると、昭和初期以前に輸入されたスタ社のピアノの多くは戦争で焼失するなどして、
現存するのは十数台程度。
スタ社製は「古いほど音が柔らかくなり、音色が練られる」(伊達華子・山形大教授=ピアノ)
こともあり、SJ社がドイツに運んで修理することを決めた。
同校も廃棄処分を撤回し、同窓会が中心となって運送費などの実費約450万円を集めた。

当時の輸入価格は「豪邸1軒が買えるほど」(SJ社)。
同校で調べたが、そんな貴重なピアノがなぜあったのかは分からなかったという。
同校の前身の長井高等女学校の27(昭和2)年の卒業写真帳に載っていた。
20年ほど前には合唱部の練習用だったという。

ピアノはドイツでの修理を終えてこのほど帰国。卒業生や市民にもその音色を聴いてもらおう
という記念コンサートが21日夜、同市民文化会館である。

[朝日新聞] (05/21 17:07)
http://www.asahi.com/national/update/0521/020.html