断然ラヴェル。ドビュッシーは一生懸命勉強して枠にあてはめて音符を並べたってかんじだが、ラヴェルはその頭上を、バレエの「グランジュッテ」でふわりと飛び越えていくやうな。
霊感というのか、パッションというのか・・。
ところで、ファジル・サイが「ソナチネ」を弾いたんだぜい。アンニュイとか、エスプリとかいう語はことごとくかき消されて、あたしの中のラヴェル観は崩壊。だって、例の身体を揺らして左手ひらひら、声は出すわ足踏みまでしちゃって。
モネの睡蓮の池に浮かんだ小舟を、サイが抱えて一足飛び、遥か黒海の荒波に投げこんじゃったというところ。サイは果敢に漕ぎまくりましたよ。あたしは振り回された。でも快かった。こんなカタストロフもあり、と思った。