石井宏「反音楽史」(新潮社)
従来のドイツ音楽史観を否定し、少なくとも18世紀にはドイツはまったくの文化後進国で、先進国イタリア人に音楽など書けるはずのない野蛮人と見なされていたと喝破。
現在信じられているドイツ音楽中心主義は19世紀に捏造されたものだそうだ。
全編ドイツ人を罵倒しまくっているように見えながら、最近議論になったモーツァルトを説明抜きで「ドイツ人」と片づけている。(オーストリア人という概念は当時ないとの立場か)
音楽の書けない民族と思われていた18世紀にバッハ、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン(いずれも当時国際的知名度ゼロかそこそこ)を輩出したドイツ人って何なのよ。
欧州の音楽を支配していた時期にせいぜいヴィヴァルディとモンテヴェルディしか残せかったイタリア人って・・・・
捻りに捻った熱いドイツ礼賛と「同時代の評価ほどあてにならないものはない」とのメッセージが伝わる問題の書だ。