同じウィーンでもスコダに言わせれば

フィッシャー
 「すでに幼いときから私に深い感動を与え、私は自分から、ベートーヴェンはきっとこのよう
 に演奏したに違いないという感じをもった(ずっと後になってから、偉大なベートーヴェン演
 奏家のひとりひとりが ベートーヴェンのそれぞれ異なった側面を妥当なやり方で表現してい
 ることをはじめて理解した―以上カッコ内は要約)フィッシャーには『心に訴えかける』とい
 う真似のできない才能があった。」
シュナーベル
 「まさに形而上的な真率さ、原譜への絶対的な忠実さ、全体に一本の線を通しながらも微小な
 部分をもゆるがせにしない努力が聴くものに感銘を与える。かれはまた―フィッシャーと同じ
 ように―その簡潔さと誠実さで人の心に感動を呼び覚ます力があった。(しかし、時として知
 的に過ぎるように思える場合がある。また、基準テンポを守るという感覚がおそらく完全にで
 きていなかったように見える場合がある。これは時代のためもあっただろう―以上カッコ内は要約)」
バックハウス
 「感覚の細かなものではないが、厚みのある響き、全体を大きくつかむ感覚、そして何よりも
 彼の神童時代とその後永年にわたるヴィルトゥオーゾ的訓練に由来する厳格にコントロールさ
 れたメカニズムが備わっている。彼の演奏はまさに男性的であり、媚態などとは無縁である。」
ケンプ
 「魅力的な点は、その崇高さ、大きなまとまり、ベートーヴェンの主題のあるものにそなわった
 『彫琢性』を感じ取る感覚、確固として男性的なリズム、ここの楽章を純粋な啓示たらしめる力
 である。彼はピアノを用いて素晴らしく歌うことができ、魔術的な響きの効果を呼び起こすこと
 が可能である。時として彼のテンポはあまりに遅すぎることがあるかもしれないが、しかしそこ
 には常に、ある偉大な音楽家の、我々の時代が持つ最大のベートーヴェン解釈者のひとりである
 巨匠の呼吸が満ち満ちているのである。」