キーシンの弾くショパンを聴いた。遺作のワルツ・ホ短調だ。
これをしのぐ演奏は有り得ないと思う。
ただ私は二つの点を心配している。
彼はこの曲を、ほとんど赤ん坊の頃から弾いてきたのだろうけど。
第一に、一気に弾き込んではいけない。
一生弾き続けることを考えてほしい。
第二は、点描主義画法だ。
キーシンにはこれがほとんど存在しない。
もしかしたら暗い部屋で練習することが、全くないのかもしれない。

ところでキーシンがドビュッシーを弾くときには、
必ず聴きに行きたまえ。素晴らしいぞ!
すぐにわかるはずだ、指の間に冷気が漂うのが。

                          ----『リヒテルは語る』より

リヒテルの前でドビュッシーを弾いたことがあるんだろうか?
ご本人はフランス物は苦手そうだけど。