つくられた作品としては、ショパンのバラードやスケルツォの方が、シューマン
の「謝肉祭」よりも完全なものにちがいなかろうが、しかし、私はショパンのヘ
短調の幻想曲よりシューマンのハ長調の幻想曲の中にはるかに豊かな精神のほと
ばしりを見ないではいられないのである。ショパンは精神の問題を避けて、芸術
をつくりすぎた。(吉田秀和)