今日読んだヴァイオリニストの黒沼ユリ子の本の中に
フジ子の若いときの演奏に関する記述があったんでちょっと引用。

・・そこに居合わせたのが私一人にもかかわらず、まるで千人の
観衆を前にしているかのごとく熱っぽく、または死に絶えそうに
語りかけ、真剣そのものの、一回限りの生演奏を聴かせてくれたものだ。
音楽が高揚してくると、靴をはいた彼女の足はペダルの席を踏むのではなく
ペダル全部を靴底全体で上からたたくようになり、ピアノが揺れ
都営住宅の木造の床がきしみ、まるで小さな地震のようだった。
音楽とは、このように奏者の内面と密接し、興奮させ、聞くものを
中に引きずり込んで感動させ、コミュニケーションが生まれるのだと
いうことを、ふるえる空気を一緒に呼吸しながら体験した。