ベームの「フィデリオ」に関してずっと「一昔前のマイスターの演奏」だ
と思っていた。皆が絶賛するので、日生劇場の「フィデリオ」を2回も
買ってしまったが、変なところでリズムを落としているし、「こんな演奏
どこがいいのだろう?」と不思議に思っていた。少なくとも恐らく史上
最速のスピードで演奏しているトスカニーニの1935年の断片とは比較でき
ないシロモノだった。
しかしHRE-388に収録されているベームの演奏(1960年の演奏・第2幕トリオ&
アリアのみ)は、そのトスカニーニを彷彿とさせる非常に激しい演奏だった。

実はこの演奏、カラヤンの60年のフィデリオライブのボーナストラックとして
収められたものだったが録音状態もよかった。この数年後に演奏した日生劇場
と雲泥の差である。

ちなみにこの演奏の全曲盤はあるのかふと思った。録音状態が恐ろしいほど
悪いカラヤンの演奏が全曲収まっていて、この演奏がボーナストラックだった
から多分ないと思うが。