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ヨッフム盤はフィッシャー・ディースカウのザックスを楽しめるか、
違和感を感じるかで大きく評価が分かれるでしょう。FDの、単語
一つ毎に音色を付けていくような微妙なマニエリスティックな演唱は、
他の歌手から完全に別の世界にいるようで、またスタジオ録音でな
かったら聞き取れなかったであろう特殊なもので、壮絶なテクニックと
周到な表現に私などはまいってしまいましたが、初めてこのオペラを
聴く方にお薦めできるかどうか戸惑います。ドミンゴのワルターの
ドイツ語はお粗末なものでそのベルカント・スタイルに吹き出しそうに
なりますが、これはこれで楽しめるものです。またカタリナ・リゲンツァの
エヴァ、クリスタ・ルードヴィッヒのマグダレーネも場違いで、まるで
イゾルデとブランゲーネです。ヨッフムの指揮は穏当なもので、至極
真っ当なものです。
名歌手の芸を一歩引いて楽しめる方には良い選択でしょう。ファースト・
チョイスには向きません、というのが私の結論です。