シノポリもヘレも、医師としては、いくらかでも形而上的なものと繋がりのある
精神科を選択していたが、それでも結局は音楽に専念した。
この人は神経内科という、極めて緻密で理論的なアプローチを要するものの、
ある意味即物的で形而下的な科を選択した。
彼の演奏は、細部まで緻密に彫拓されているのが印象に残るが、解釈としては、
過剰な主観を交えず、楽譜の指示する所を自然に大らかに表現するというやり方の
ように聴こえる。
彼は今後も音楽に専念することはなく、医師としての活動と併せ、自己実現して
いく人なのだと思う。