届いたまま封も切らず、舞台を観るまでは我慢していたオテロのDVDを、やっと観た。

それは・・・電気紙芝居そのもの。
確かにソリストの歌も表情も演出の妙も、カメラのズームアップに
勝るものはないけれど・・・決定的に欠けているのがオケの響き。 
ブリキの楽隊のような音しか画面からは聴こえて来ない。

人の声と楽器が、分かちがたく対等な力で奏でられていた
あの夢見るようなピアニシモや豊穣なフォルテは何処へ?

ソリストの声だけは、それなりに美しく再現されているから
DVD製作者は<合唱とオケは歌の伴奏>という認識で作ったのだろう。

私の スカラ/オテロ は、私の心の印画紙に濃く焼き付けられた
あの一瞬 このひとときの映像と、耳の奥・・・頭のずっと深くに
しみとおった響きの記憶こそが全て だと思う。