>>338続き
私事で恐縮だが、東寺筆者はまだ中学生で、なんとなく流していたこのFM放送を聞いていた。
当時の音楽シーンを振り返ると、ニューミュージックやディスコ・サウンド全盛時代ではあったが
YMOなど80年代に向けて新しい音楽の潮流も始まっていて、様々な流れが次々に来ては去るという
ポピュラー音楽界も一種混沌としていた時代。そういう中で私も無意識に新たな感動を与えてくれる
音楽を求めていたのかもしれないが、クラシック音楽をきちんと聴いたのが初めてだったにもかかわらず、
終演後、衝撃が全身を貫いたのである。放送を通じてではあるが初めて体験するオーケストラ音楽への感動。
聴衆の熱狂ぶり(クラシックでこれほど熱狂する聴衆がたくさんいたことにも当時は驚いた)。
何もかもが新鮮だった。その後カラヤンが「楽壇の帝王」と呼ばれる有名な指揮者であることを知ることとなり、
レコードを買い始め(最初に買ったレコードは76年録音の「悲愴」で、これも素晴らしかった)自分なりに
クラシック音楽に興味を広げて行く格好のきっかけとなった。そして念願叶い、2年後の来日公演では生の演奏を
幸運にも聴くことができ、その時の切符やプログラムは今でも大切なもので、時折見るたびに
あの放送の日の衝撃と感動を思い起こさせるのである。
(余談:カラヤンは来日のたびに当社の銀座本店を訪れており、諸先輩方から当時のエピソードを聞くたびに、
もう少し生まれるのが早ければ、と思わずにはいられなかった。)