十年ぐらい前のこと。
ラトル&バーミンガム市響が九州のとある県庁所在地に来た。
曲はプロコのPコン(ソリストはマルタアルゲリッチ)とショスタコ15番。
聴衆はアルゲリッチ目当てが多かったようだ。

ショスタコでは、弦バスが下手に来るにロシヤ型の配置にするあたりが、
ラトルの面目躍如で、非常にクリアなアンサンブル、
木管のソロなど舞台のどこで鳴っているか分からないぐらい、一体感があった。
しかし、なんといってもショスタコの15番(恐らくこの県で初演、その後も演奏されたことはないだろう)、
客席は空席が目立った。東京ならともかく、九州の片田舎でも取り上げるのがラトルの偉さだが。

その目立つ空席に、驚くべき聴き手がいた。出番の終わったアルゲリッチである。
普通前プロのコンチェルトのソリストなんて、出番が終わればすぐホテルに行って、
シャワーでも浴びてるもんだろう。
コンサートが終わって、ロビーに出るとすぐ横をにこやかにアルゲリッチが歩いていく。
短大生みたいな女の子が「握手してもらっちゃったぁ」と感激している。
はぁ〜、このオバサマは本当にクラシックが好きなんだ(15番は現代音楽、なんて突っ込みは無し)、
と思ったよ。ちょっと感動した。

てなわけで、ラトルの今後のショスタコに期待。