生きていくためのクラシック
「世界最高のクラシック」第II章 許光俊:著

かつてチェリビダッケやヴァントが指揮するものすごい演奏に遭遇したとき、私は心底
「このようなものを聴けるのだったら、生は意味がある。豊かである。このようなもの
が聴けるとは幸福以外の何者でもない」と思いこむことができた。彼らの次のコンサート
を聴くまでは、絶対に死ねないと思った。愚かさと悲惨さに溢れた世界のなかに、たとえ
ごくわずかであろうとも、すばらしい驚異が存在すると信じることができた。私にとって、
「世界最高のクラシック」とは、生が生きるに値すると納得させてくれるものなのだ。
(「最初に」より)