「いいでしょう。」
彼(論者注:ラフマーニノフ)は答えました。
「お出でいただければご協力します。」
そこで私はスコアを持って彼のところへ出かけて行きました。第1楽章の導入部の後、第1主題が始まる前に4小節の伴奏があります。
「ああ、ここの2小節はカットしても良いですね。」
そしてそれが全てでした。それが彼が認めた唯一のカットだったのです。
「あなたはカットが私にどんな思いをさせるか知らないのです。」
彼は言いました。
「まるで自分の心を切り取るようなものなのですよ。」