若かりし頃のブラームスは超美男子だし、領主のいない実力至上主義の自由
都市育ちで、当時の感覚じゃとてつもなく鼻っ柱が強く傍若無人、喧嘩っ早
いという程ではないにしても、言いたい事言うのにちっとも躊躇してないし、
当然都会っ子だし、本来オシャレだし、髭もそってたし、あゆかウタダかっ
てくらい当時売れっ子だったドイツ最高額紙幣の年上人妻超美形女と噂にも
なってるし、実際頂いちゃってそうだし、似たようなリストなんかに比べて
も遥かに名作書いてるし、ピアニストとしても凄腕だし、二十歳そこそこで
シューマンのお墨付きをもらってデビューしてるし、作曲だけで財産作った
最初の人間の一人だし、間違いなく生前世界で最も尊敬を集めた有名な作曲
家だし、これで内気とかイケてないとか女にもてなかったとか言ったらシュ
ーベルト辺りが化けて出るだろう。

彼は決してネクラな音楽家って訳じゃない。元々、エルベと北海の水温差の
所為か知らんが、しょっちゅう霧が発生するし、気温が25度を超えると学
校が休みになる位、およそ太陽ってもんがない所で青春過ごした人間に、あ
りきたりの光り輝く音楽なんてものを期待するっていうのが間違いだろう。

彼はボンだのウィーンだのとは根本的に違う世界の住人なのだ。むしろ千変
万化な花曇の日差しのビミョーな美しさに熱狂したり溜息をもらすような感
覚こそ、彼には相応しい。そういう渋めの格好よさというものも世の中には
あろう。

むしろあれはあれで一種の(北国特有の?)ダンディズムって奴なんじゃな
いか? そんな訳で、取りあえずストコフスキーでシンフォニー全曲を聴い
てみるってのはどうだろう?