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      今日はマイケル・フィニスィーの近況を示すCasual Nudityから、参りましょうか。
      フィニスィーお抱えのアンサンブルIXIONのために作曲。バス・フルート、ギター、コントラバス、ヴァイブラフォン(プランジャーもちかえ)、ピアノ、というバランス調整がどう見ても困難な編成を取ります。
      近年のフィニスィーは「パート譜の集合体のみ、スコアはなし」といった形態を再評価した作品がちらほらとあります。
      いきなり全部の楽器が第一期を髣髴とさせるありがちなクリシェの連続で始まります。冒頭だけを聞いてフィニスィーの才能を確信する人は、ここの住人にはいないはずです。
      しかし、ピアノパートをみると興味深いのは第一期から近年までの書法を自在に推移させていることに注目ください。歴史主義、とは他者の個性を編集するだけではなく、自身の個性の編集も関っているのです。

      やがて困難な書法を全ての楽器が捨て音楽全体の運動量が落ちたときに、ヴァイブラフォンを除く演奏者達が自らの体をぴたぱたと叩く部分が秀逸です。
      ヴァイブラフォン奏者がプランジャーを手に取るシーンに独自のユーモアが認められます。まるで生きた5つの音響彫刻を眺めているような感触です。
      一つの作品の中で、困難な書法から自由な書法へ、そして音楽史を退化させるという視点はこれまでのフィニスィーにはなかった要素であり、室内楽で真価を発揮する傾向は変わっていない、というところでしょうか。

      次回はポスト・シンプリシティーの旗手、ローレンス・クレーンを。