V字」は、なんとチャーミングで音楽の愉悦に満ちた演奏!
最近の古楽的アプローチなど我関せずと言わんばかりの、いわゆるウィーンスタイルのハイドンとでも言うのでしょうか?
その恰幅のよい、色気たっぷりのハイドンにもうメロメロ。
特に3楽章!!!
あのハイドンらしいイタズラに満ちた仕掛けをなんと精密に、しかもスリリングさを伴いながら演奏させることでしょう。
この楽章の読響の上手さには、もうあきれるほどで、これはもうWPhの域に達していました。いや、冗談抜きで!

そして、これはもう「音の熱風」とでも言うべき、ブラームスの4番。
冒頭の旋律からして尋常でなく、なんともファジーでしかし全員の息のあった艶かしいこんな入り方は、
クライバーのこの曲のウィーンでのライブやインゴルシュタットでのライブを聴くかのよう。
そして音楽は一瞬たりとも硬直することなく、絶えず息を大きく吸って、大きく吐いて、進んでいく・・・。
読響の面々も、いつもとは明らかに顔つきが違い、この棒に酔っているのがありありと分かりました。
素晴らしい自発性を持ちながら一緒に呼吸し、必死に棒にくらいつき、歌いまくる!!
特に毛利伯郎氏以下のチェロパートの白熱ぶりは凄まじく、とにかくカンタービレ、カンタービレ!!
しかも見事なのは決して演奏が荒っぽくならないところで
物凄いスピードでドライブしながらも、極めて微細なテンポの急緩をキッチリと捉えておりこれは驚異的な水準でした。
このプログラムは、なんと4日もプローベをおこなったということなのですが
いかに細かく練習を積んだのかがよく分かりました。
いわゆる爆演スタイルでありながらも、この指揮者の本質は実は物凄く繊細な音楽性にあり
その脆うい紙一重的なバランスの取り方こそがまさにカルロス・クライバー的であると思います。
終楽章まで本当に息つく暇も無いほどワクワクしっぱなしのこのブラ4、
これまで実演で何十回(いや百は越えるかも)聴いたこの曲の中でも、5本の指に入れていいほどの演奏だったと思います。