ムラヴィンのDVDにあったインタビューに、
初演の際、ショスタコとムラヴィンが顔をつき合わせて相談しながら音楽を作ったのは、
交響曲の5番だけだそうな。確かに1938年の録音を聴くと、テンポ設定やリズムの取り方が、
後の録音とはだいぶ違っている。そのあたりが、ショスタコファンに言わせると、
ムラヴィンのは力づくな演奏だ、とかなんとか言うことになるんだろう。
しかし、ムラヴィン最晩年の84年の録音と38年の録音だったら、
やっぱり84年の方が、曲の魅力を伝えていると思うけどなぁ。
いくら作曲者が、これは自分の”思い”と違うと言っても(本人は怪しげな「証言」の中でしか言ってないが)、
結局、ムラヴィンの演奏が一番説得力がある場合が少なくない。
15番は、確かに評価の分かれる面があるが、8番や10番はムラヴィンの独壇場だ。
ショスタコ自身、8番10番はムラヴィンが演奏することを前提に(その演奏威力を前提に)、
作っていると思う。
私に言わせれば、チャイコの4〜6番。ベートーヴェンの5、6番。
ブラームスの2、4番といったあたりもムラヴィンスキーが最高なのだが、
そういう風に、作曲者よりも演奏家の魅力や力量を先に感じさせてしまうところが、
ショスタコファン(や案外ショスタコ自身)が不満に感じる所以なのかもしれませぬ。