透徹した知性に裏打ちされた、極めて冷静な分析能力。
それを冷静沈着に表現する技術。
個性的な解釈でありながら、演奏はバランスの良い構築性を示す。
独自性を持ちながらも、実に調和が取れているのだ。
2曲の協奏曲、とりわけ第4番の演奏には、その緻密さに圧倒された。
指揮者も交響楽団員たちも、第4番の協奏曲の方が、
ピアニストと呼吸が合っていた。
個々の表情付けや表現の仕方は、私個人としてはあまり好きとは言えないのだが、
この日全体の印象としては、ただもう言葉もない位、感銘を受けた。
用意周到とか抑制の利いた…といった形容詞は、
彼の為にあると思えるほどだが、
それらが決して、冷たい音楽にならないところが、凄い。
頭は冷たく冴え渡っていて、心は暖かいという独特な世界…
まさに異才であり、天才と言われる秘密がここにある。