私は弦楽四重奏曲の弦楽合奏編曲は大嫌いだ。
大体、大人数で演奏すると音が厚ぼったくなり、和音の響きが濁る。
精密なアンサンブルなど望むべくもない。上手い四重奏団ならコラール
などヴィブラート控えめにして透明で純正な響きを作るが、弦楽合奏だ
とそんなことは不可能。だいたい指揮者が入ると、個々の奏者の自発的
音楽性の発露がなくなり、「室内楽」室内楽たる所以であるところの内
発的、自律的アンサンブルが無くなってしまう。だが、そのようなアン
サンブルこそ、室内楽のもっとも本質的な魅力なのである。
4人で演奏するから、ひとつのパートを一人で演奏するから、個々の奏
者の弓使い、フレージングが生き生きと感じられ、4つの声部という必
要最小限の宇宙の中に凝縮された美が生きてくる。
やはり、弦楽四重奏は「室内楽」だからこそ、演奏する側も、聴く側も
面白いのだと思う。