私個人の見解としては、古楽奏法に
よるテンポの違和感は当時と今とではテンポの捉えかたや
感覚が変化したのが原因であって古楽奏法の研究が誤って
いるとか古楽の演奏家の演奏技術の為とかそういう訳では
ないと思います。おそらく当時としてはあのぐらいのテンポで
演奏されていたのだろう。たとえベートーヴェンのメトロノーム
の指示が、現代の我々において、どんなに奇妙なものであったと
してもおそらく当時はそのテンポで良かった筈。
逆にあえて当時のテンポで演奏して見せる事によって、
音楽がただ原典によって成り立っているものではなく、
その演奏される文化や人々のかかわり合いの中で生まれ
ているという事を証明しているのではないかと思うのです。
つまり古楽とはただ単に原典主義に帰れという原理運動で
あってはならない筈だという事でもあります。