BCJのマタイ
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0363362
03/05/12 21:07ID:???だけど、作品内のできごとはあくまで想像の世界に留まり、自分自身の生の現実として戯曲の世界、
小説の世界を引き受ける人間はいない。
作品によって内面的に満たされることはあるにせよ、芸術が現実に反映されるのは
「影響」という形での間接的なものに限定される。
罪なくして裁かれた者への同情とか、心ならずも裏切りをしてしまう人間の弱さへの共感とか、
それを赦すことのできる大きな愛への感動とか、そういったものはマタイ受難曲の芸術的側面で、
全ての人たちに共通して大きな影響を与える部分だと思う。
宗教は、芸術のようにイマジネーションの世界で完結するのではなく、ダイレクトに現実の生を規定していく。
そこに宗教の持つ救済の力も危険性もあるのだけども、それは全ての人に同じようには働かない。
宗教が力を振るうためには、理屈抜きの確信、つまり信仰が必要になる。
そして大事なことは、バッハは芸術作品として「マタイ受難曲」を創作したのではなくて、
神を讃美するための宗教行為としてそれを書いたのだということ。
結果として比類がないほどすぐれた芸術作品になったのは事実だけど、それはあくまで結果にすぎない。
ヘレヴェッヘが、最も大切なこととして「教会で演奏された宗教音楽の本質を忘れてはいけない」
といったのはきっとそういうことじゃないかな。
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