彼の面白いところは音の力学に鋭敏なことかな。
その力学をうまいこと引き出せば
変にエモーショナルな表現は必要ない、
ていうアプローチだと思う。

だから聴く人によって手抜きだというのはわからなくもない。
神黄昏の最後なんて普通は万感胸に迫る音楽を期待するけど、
じつにあっさりというか、何の思い入れもないというか、
その点は物足りないけど、でも確かにあそこは音楽的には
そんなに面白い箇所ではないよね。

おそらくバレンボイムは、我々の感覚でいう、
魂を込めた表現なんていうものには興味がないんですよ。