ある女流ピアニスト曰く――
先生は、もうわたしたちのことがおわかりにならないようでした。
老人ホームにたずねていくと、ピアノがあって、嬉しそうにひいて下さるのです。
そして、
「あなた、知ってますか。私、ピアニストだったのです」とおっしゃる。
辞去した時、涙が流れてとまりませんでした。