>>87

ドワイアンの全集、個人的にはいちばん好きなフォーレのピアノ演奏です。
ただ、好き嫌いはかなり分かれると思います。

楽器がベーゼンドルファーなことと録音がちょっと旧いことに加えて、
スタッカート中心で音のひとつひとつを噛みしめるように弾いているので、
悪く言ってしまえば鈍重な印象を受けます。
(テンポ設定は平均的)
軽やかに流れるような演奏をお好みの向きにはお薦めできません。
96さんが挙げていたストットとは好対照といえるでしょうね。

ですが、地味ながらピアノの音の美しさには徹底してこだわっており、
楽曲の構造を丁寧になぞっていく姿勢にも好感が持てます。
聴きこめば聴きこむほどに愛着が増していくタイプの演奏です。

ぼく自身はじめて聴いたときには、
なんだかボテボテした音に感じられて好きになれず、放りだしていました。
しばらくはユボーの全集に親しんでいたのですけれど、
あるときドワイアンを聴きなおしたところ……
含蓄ある語り口の魅力的なこと!
いまではユボー盤があっさりしすぎてものたりない演奏に感じられます。
ドワイアン盤は死ぬまでつきあっていきたいCDのひとつですね。