私は、フルトヴェングラーの44年のエロイカが大好きです。
他の指揮者では絶対マネの出来ないフルトヴェングラーだけのスタイル。
多分あの時代だからこそ成し得た 極限状態における特異な演奏なのでしょうが、
劇的な表現の突出した拡大が 恣意的ではなく強烈な説得力を持って迫ってくる辺り、
これこそ作曲家の望んだ曲の真の姿だとか、つい思ってしまいたくなる。
(そんな視野の狭い印象批評で済む話ではないですよね)

アバドの新録音も、フルトヴェングラーとはまるっきり性格の異なる
ベートーヴェンだけど、私は大好きです。
ピリオド様式を取り入れたスタイルですが、BPOのすばらしく充実して響きは
やはり他のオーケストラとは一線を画していますし、
アバドの解釈も意外とロマン的な心情表現を犠牲にはしていないように思います。

カラヤンは、グラモフォンのベルリンフィルとの3種類の録音しか知りませんが、
個人的には繰り返し聴きたいとは思いません。(ファンの方、ごめんなさい)
流線型のフォルムを崩さない範囲で 聴かせどころを洗練された手法で誇張する
カラヤンのようなスタイルは、60〜80年代においては最もオーソドックスな
ベートーヴェンだったのかもしれませんが、どうも好きにはなれないなあ。
カラヤンの場合、ベートーヴェンよりも他の作曲家(例えばR・シュトラウス)
の方がはるかに得意だった(というか似合っていた)と思いますが・・・。