五十嵐も新国立監督後任人事について、「財団理事長の樋口広太郎アサヒ
ビール名誉会長から事前に相談があれば、二期会オペラ振興会の栗林義信理事長を
推すつもりだった」と漏らした。栗林はバリトン歌手で、芸大在学中から五十嵐
とは親しい。

禅譲断たれ小泉首相に「直訴」

ただ国内での入念な根回しを欠いた、あるいは端から諦めた結果、ノヴォラツ
スキー指名に到るまでの理事会は混乱を極め、最後は樋口理事長の英断で
決着した。“禅譲”を絶たれた栗林には「オペラ相談役」のポストを用意する
ことで収拾を図ったが、栗林と五十嵐はその後もオペラに来場した小泉首相
に招聘人事の撤回を“直訴”するなど納得した様子はない。樋口理事長が病
に倒れ、横瀬が去り、日本側の強いリーダーシップを欠く中で孤立する
ノヴォラツスキー。

ウィーン音楽演劇専門大学を卒業した演出家志望とは言え、ウィーン国立
歌劇場の本公演では演出助手までしか務めたことの無い、若手スタッフの
一人だったノヴォラツスキーが異国で黎明期の歌劇場に溶け込み、組織を
作りながら上演水準を高め、世界に発信することが本当に出来るのか。
全ては2003年秋から3年間の任期を通じて明らかになるはずだ。