トスカニーニのハーフスピードカッティングが出てきた頃の、東芝EMIの
フルヴェンのブライトクランクは、どこか音の角が丸くなっていた印象があ
るよ。ブライトクランクも1960年代半ばの出始めの頃は、結構腰の強いよい
音がしていた(第9を除く)。それに本来のブライトクランク盤の大きな特色
はモノラル用ピックアップでも再生可能なことで、ドイツのエレクトローラ
盤には必ずその但し書きが印刷されていた。そのためかブライトクランク盤
をステレオ用ピックアップで再生した場合でも、アンプのモードをモノラル
にして聞くと、本来のモノラル盤の音に非常に近い音がしたものだ。この外
の擬似ステ盤では、アンプのモードをモノラルにしても多かれ少なかれ人工
的な残響感があって、元のモノラル盤とは音感が違って聞こえたものだけど、
ブライトクランクだけはその傾向がほとんどなかった。横振動だけしか拾え
ないモノラル用ピックアップでも無理なく再生可能という点も含め、やはり
これは大した技術だと感心したものだった。