ちょっと前に評判になったペライアのショパンの練習曲をポリーニとで比べてみると、
テクニックだけなら断然ポリーニというほどの差はないように私には聴こえます。
ペライアの方がずっと正統派というか、音色も表情付けも全く無理がない。
しかし、ポリーニの方は、あの輝かしい硬質な音を均等に並べた隙のないフレージングが、
逆説的に曲の持つ多彩な表情を引き出しているように感じられます。
とても残念だけど、今のポリーニには、あの音はもう望めそうにない。

実はポリーニ自身が、かつてのポリーニのスタイルにまだ未練を残しているとは
言えないでしょうか?
ラフな弾き飛ばしなどは、本当は昔と同じように弾きたいのに結果的に弾けていない
結果にしか過ぎないのかもしれません。
となれば、それはやはりポリーニの堕落と思われても仕方がないかもしれない。

でも、ドビュッシーなどでは、若い頃にはなかったもっと柔らかい透明な音で、
静的な微妙な表現を聴かせてくれます。
それはそれで今のポリーニの魅力。(やはり「らしくない」から失望を生むのかな?)