商業主義の極まりに抗して

世界的にクラシック音楽の衰退が言われている。確かにCDの売
れ行きが落ち、コンサートも特定の音楽家以外は空席が目立つ。し
かし、僕はこの現象を「時代の趨勢」と片づけたくない。音楽業
界が自分で自分の首を絞めてきた面も無視できないからである。

18世紀のモーツァルトやベートーヴェンは、王侯貴族や教会の権
,力がまだ強い時代にあって、彼らの注文だけでなく一般市民のため
に作曲することを重視した。言い換えれば、一般市民が彼らに優れ
た音楽を書かせたことになる。市民たちが優れた審美眼を持ち、そ
の理想を芸術家に要求したのだ。これは王侯貴族や教会の好みとは
違う自分たち自身の嗜好を持っていたことになる。