バルトという人はいわゆる新批評をはじめた人ですが、それは伝記的な
実証をこととする旧批評をターゲットとして、テクストそのものから出
発するというものです。時には作者そのものすら括弧に入れて、インタ
ーテクスト(相互引用の織物)に還元したりします。これは批評上の方法
ですから、バルトが作者本人はどうでもいいと思ったということではない
でしょうが、少なくともそれを表に立てることはしない。正しいシューマン
像みたいなものももちろん括弧に入れられる。