今回アンダンテより発売された「大地の歌」は、結論から言えばデッカと同一だと思う。
デッカ盤の演奏のファンは誰でもそうだろうが、身体に染みつくほど繰り返し聴いているはずだ。
しかし、このアンダンテ盤にはデッカ盤との違いは発見できなかった(聴衆のノイズ、拍手はある
けれど)。
アンダンテ盤の録音について、ウィーン・フィル側は「間違いなく5月17日」との公式見解を出して
いる。と同時に次のような可能性も取りざたされている。
@デッカの録音(デッカは15、16日録音と発表している)には5月17日のライヴ・テイクがかなりの
割合で使用されている。
A近々発売予定のターラ(Tahra)盤は5月17日の日付があり、これはデッカと明らかに違う演奏だが、
実際は18日の誤りであるという説。
@Aが正しいかどうかは別として、1952年5月の「大地の歌」の録音は結果的にデッカ、アンダンテ、
ターラの3種が存在することになる。
音質、演奏とも最も優れているのはデッカで、それと違う味わいを持つのがターラである。デッカと
瓜二つであり、しかもそのデッカやターラよりも音質が劣るアンダンテ盤は3種類の中では明らかに分
が悪い。つまり、ワルターやフェリアーの全録音をそろえるというファン以外は手を出さない方が無難
であろう。(平林 直哉 音楽評論家、クラシックプレス編集長)