あの時お医者さんは言った。「まぬけな猫だねぇ」と。
そう、あれはドライブ中の事だった。猫を轢いた話をした時の彼の反応。
これで私はいっぺんに嬉しくなって、解放された気がしたのよね。
そして嬉しさのあまり、大自然の中でショスタコーヴィチを聴いた。
ズンドコドコドコ…と車内が鳴り響く中、私は幸福な気分に満たされた。
死んでもいい、とまでは思わなかったけど、
結果的にそうなったなら、私はそれでもよかったのだろう。
歓喜の絶頂。〜ドライブしながら、私は確かにその懐にいた。
生きた屍の最も幸福な体験を、猫の記憶に引き出してもらった。
記憶よ記憶、おまえはもはや屍なのだ。
そんな気分が、農場をいっそう美しく際立たせた。

その後、《神々の黄昏》を聴く事になる。