偉大なる作曲家シリーズ「ヴィヴァルディ」

 全体を通じて演奏、録音、共に水準の高い演奏である。特に「春」についてはおそらく
演奏者が最も得意とする曲目だという自信の程が伝わってくる名演である。自分の解
釈を伝えようという意気込みが感じられる。「夏」から「冬」は無難にまとめた感のある
演奏であり、このCDの重点は「春」、つまり演奏家がもっとも得意とする演奏を世に問
おうとしたものではないかと考えられる。「冬」の第2楽章で遊び心を見せてくれたのは
ご愛嬌だろう。24ビットサンプリングの録音の良さは特筆に価する。

 「春」。軽やかな滑り出しの第1楽章、十分弾きこなした感のある余裕十分の演奏。
第2楽章は速めのテンポで軽快に進む。テンポは速くても微妙なニュアンスを出しな
がらの演奏であり、演奏者の技量の高さ、造詣の深さを感じさせる。第3楽章は伸び
やかにメロディを歌い上げ、美音を存分に堪能できる。
 「夏」。第1楽章は一音一音をしっかり響かせる演奏。第2楽章は独奏バイオリンが
その技量の程を存分に聞かせてくれる。第3楽章はアンサンブルの重厚な響きが聴
きもの。
 「秋」。ノーコメント。
 「冬」。第1楽章は「夏」と同様にテンポを刻んできた。畳み掛けるような合奏を期待
していた人は残念だろうが、正確なアンサンブルを聞ける。第2楽章はバイオリン独
奏者の見せ所、独特のテンポの取り方で、この演奏家の個性が光る部分だ。ここを
聞くためだけにCDを購入する価値もあろうというものである。