一般的にテムポの遅ければ遅いほど、オケの演奏者は苦労が絶えないの
でしょうね。クレンペラーの率いたPOのVn奏者も彼のベト交響曲が
ゆったりしすぎていて合わせるのに苦労したという話をしていたのを思
い出します。技量の高さと練習量が豊富であれば、克服可能なのでしょ
うが、小生の聴いていた70年代末から80年代にかけての大フィルに
不満が続出するのは仕方がないにしても、縦の線が揃わない、ソロ演奏
の音色が美しくない等々がそれほどの瑕疵にはならないところが朝比奈
の「おっさん」の演奏の良いところだと思います。アーベントロートの
かつてのライプツィヒ管弦楽団の演奏だって粗さばかりが見えるので、
アーベントロートは単なる楽隊長のおっさんだという評があるけれども
そんなことを指摘するのは至当ではない。彼らの演奏のあのゆったりと
した演奏を耳にした後に残る感慨の深さは、現存の並の指揮者の演奏で
は得られない。