>>373
MONOのフルトヴェングラーの他に第九を聴いてみるならどんな演奏を薦めたいか、
という観点でRes差し上げます。
フルトヴェングラーのロマンティックな、フランス革命以来の倫理観とか
啓蒙思想とか人道主義とかの近代主義的理想主義の頂点を極めたような演奏を、
ステレオ録音で聴きたいということなら
グラモフォンのバーンスタイン/ウィーン・フィルを薦めます。
そこまで極端にならず、もう少し穏健にということなら、
フィリップスのハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウを。
フルトヴェングラーの後継者カラヤンの第九は、戦後のドイツを体現する
演奏です。根にロマン主義を隠し持ちながら、それを否定する意識の鎧で
表を固めた、アンビバレントな演奏で、戦後のドイツの精神の有り様を
考えさせられます。
さらに、現代のオーケストラで、ベートーヴェンの楽譜を理性的に実際の
音に移し換える作業の精度の高さでショルティ/シカゴ。余談ですが、
録音も抜群です。
これらの演奏が所詮フルトヴェングラーによって表現されたベートー
ヴェン像を乗り越えられないというところから現れた古楽器・実証主義
演奏群からはブリュッヘン/18世紀管弦楽団とガーディナー/オルケスト・
レヴォリューショネルが好一対。さらにヘルヴェッヘ/シャペ・ロワイヤルも
素晴らしい演奏だと思います。
この姿勢のオリジンを辿ると、実は一見古色蒼然と見えたクレンペラー/フィル
ハーモニア管の演奏が新めて頑強で新鮮に見えてきます。
他にもシュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィル、
シューリヒト/パリ音楽院管、ヨッフム/ロンドン響、ベーム/ウィーン・フィル、
ジュリーニ/ロンドン響orベルリン・フィル、クーベリック/バイエルン放送響etc. 
それぞれ聴き所のある演奏だと思います。
日本人の第九に対する思い入れは朝比奈/大阪フィルに満たされるものがあると
思いますが、これは番外ということで。。。。