吉田以外の音楽評論家には音楽が余りわかってないように感じる。
或いはわかっていても書けない。
同じ音楽を楽しむなら吉田のようにするのが理想。
評論をあれほど自分の音楽体験を深める契機として利用できている評論家はいない。
書いているうちに様々な発見をしてしまう事に驚いているという感じ。
文章を読んでいる時に吉田がここで何かに気付いたということがよく伝わってくる。
自分自身が読者の立場になって吉田は文章の中を自由に彷徨っている。
この場合、読者は同時に考え豊かな聴き手でも、あるのである。
ここでは名曲の夢の深さを自らの言葉で紡ぎ出していく男の軌跡が読める。
音楽を聴いている時にこのように静かな逍遥ができるなら素晴らしいことだろう。