吉田氏の評論は、小林秀雄の評論の音楽版だと思う。
文章の運び方がそっくり。大事な点を的確な言葉で
ずばりと表現するかと思うと、その話を発展させ
ながら今度は核心の周りを歩きながら核心には触れず
読み手をじらす。その言葉使いと表現はまったく美しい。
小林秀雄のまねをした評論家で大成した人はいないのと
同様に彼の手法は彼独自のもので、他人は真似しない方が
いい。また、彼の評論を読んでいると、非常に易しく書いてある
ので、ついうっかり、自分でも真似できるような気を
起こさせるけど、あの文章は、相当の教養と博学がないと
書けるものではないと思う。その教養と博学も、単に学者のように
読んだことがあるとか理解している、といったレベルでなく、どち
らかというと作家のような感じ方をしているように思える。