・内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)
内田さんの本は『レヴィナスと愛の現象学』でもそうだったけれど、
本文以外(序文、あとがき)が楽しい。私は専門の研究者じゃない、
というスタンスで自分の立場を開き直ってるのは実は姑息だけど。
肝心の内容、フーコーの仕事を社会史として単純化しているのはかなり
安直な認識だけど、全般的には読みやすくてけっこうおもしろかった。
だけどやっぱり、内田さんの見方はレヴィナスの側だなって思う。

・ダニエル・アラス『なにも見ていない』(白水社)
ユベルマンらと並んで現在のフランスを代表する美術史家のエッセイ。
ティツィアーノやブリューゲルの作品をすごくユニークに読み解きつつ、
同時にこれまでの伝統的な美術史学や図像学の方法論に対して、何気に
強烈な批判を加えてる。文章の形式自体からして、すごくおもしろい。
翻訳してるのは文学者なんだけど、本当は、このテの新しい美術史学を、
日本の美術史家たちがもっと積極的に紹介しなければならないと思う。